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知らない世界

第30章 恐怖からの解放

布団を準備していると、大野さんが出掛けようとしている。


「ビールを買いに行こうと・・・何かいるか?」

「ビールならありますよ」


冷蔵庫からビールを出した。


「どうぞ、飲んでください」

「お前、まさか・・・」

「違いますよ。これは翔さんが来たとき用です」

「わかってるよ。
ちょっと言ってみたかっただけだよ」

「・・・。
何か適当に作りますね」

「いいよ、もう遅いから」


そんなに俺をからかって楽しいのか?
そう思いながら、冷蔵庫にあるものでつまみを作ってテーブルに置いた。


「サンキュー!悪いな」

「これくらいいつもやってますから」

「兄貴にいつも手料理食わしてるから、これくらいなんでもないってか?」

「もう・・・
すみませんが、俺シャワー浴びてきます」

「おぉ」


大野さんがビールを飲んでいる間、俺はシャワーを浴びた。
今日はこの部屋に1人じゃないことが、嬉しく思える。
その相手が翔さんじゃないことが残念。


「もし翔さんなら、俺の事を後ろからギュッと抱き締めてくれるのに・・・
後ろから抱き締めて、ここにキスして、そしたらここを・・・」



耳から首筋に指を這わせた。

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