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知らない世界

第30章 恐怖からの解放

「わかんないよ・・・」

「わからなくていい、わからなくていいんだよ」


大野さんは起き上がって、ベッドにもたれ掛かり座った。


「大野・・・さん?」


少し体を離した。


「何にもしねぇよ。
お前が今、抱いてくれって言っても抱かない。
俺の大切な人の、その大切なお前を傷つけたくないからさ。
でも正直に、今の気持ち聞かせてくれないか?
本当は怖くてたまんないんだろ?」


俺はしばらく黙っていた。


「部屋の電気も消して、お前の顔なんか見えないんだからさ、素直に言ってみろよ」

「怖いよ・・・どこの誰かわかんないやつに狙われて、怖くないはずがないよ。
怖いよ大野さん・・・早く翔さんに会いたいよ」


布団に潜る俺の頭を優しく撫でる大野さん。


「兄貴が帰ってくるまで、俺がお前を守ってやる。
だから、お前が安心できるのなら、許せる範囲で俺に甘えてこい」


頭から手が離れると、俺はそっと布団から顔を出した。
ぼんやりと大野さんの背中が見えた。
俺は背中に近付き、顔をくっつけ、シャツを握った。


「おやすみ、潤」

「おやすみなさい」


知らないうちに、俺は眠っていた。


「チキショー、可愛いぜ」

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