テキストサイズ

知らない世界

第30章 恐怖からの解放

「そんな事を言うなよ。
迷惑だなんて全然思っていない、むしろ嬉しいくらいなんだ。
だから、俺にお前を守らせてくれ」

「ありがとうございます。
それじゃ、よろしくお願いします」


後片付けをおわらせ、切り裂かれたカバンから別のカバンに入れ替え、出掛ける準備をした。
先に大野さんが玄関を出て、周りの様子を見る。


「おいっ、行けるか?」

「はい、今行きます」


ドアに鍵をかけ、大野さんの車に乗り込む。
いつも通る道を、今日は車で通る。
いつもの、人でいっぱいの交差点を今日は車の中から見つめた。


「ここ、この交差点です。
突き飛ばされたところ、カバンを切り裂かれたところ」

「こんなに人がいたら、誰か見ていそうなんだけどな」

「みんな携帯さわっているから、誰も見ていないですよ」

「それもそうか」


車だと30分くらいで学校に着いた。


「終わるころ、電話してこい。
遠慮だけは絶対するな」

「はい、お願いします」


車をおりて、学校に入った。


「今日1日、明日は翔さんに会える」


始まる前、翔さんにLINEをした。


『おはよー、お仕事ご苦労様。
明日、何時ごろ帰ってくる?』


まさかのすぐに返事がきた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ