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知らない世界

第30章 恐怖からの解放

『おはよう。
何時かはわからない。明日もバイトだよな?
また店に迎えに行くよ。
どうした、寂しくて早く会いたいとか?』

『何時ごろ帰るか聞きたかっただけだよ』

『いつもの事だけど、素直じゃないな。
俺は寂しくて死にそうだよ。
早くお前を抱き締めたいよ』

『朝から何を言ってんだよ。
そんじゃあ、仕事頑張れよ』


あ~あ、本当に俺は素直じゃないな。
自分でも嫌になるよ。
“寂しい”とか“早く会いたい”とか、何で言えないんだろう。
翔さんは俺の事“惚れた”とか“寂しい”とか“会いたい”とか、ヤ○ザとは思えないようなことを言ってくれるのに。
本当は会って力いっぱい抱き締めてもらいたいのにね。
今日1日の我慢、明日には会える。
何もなく、無事に済めばだけど・・・


「大野さんがああ言ってくれてるんだ、それこそ素直にお願いしよう」


普段やり慣れていることを、あらためて授業で習うのはとてもかったるい。
でも資格を取るためには仕方がない。
そんな事を思いながら、今日の授業も無事に終わった。


『もしもし潤です。お願いしていいですか?』

『よし、すぐに行く。
着いたら電話するから、建物から出るな』

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