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知らない世界

第4章 仲直り

カウンターの隅に座り、お酒とお袋の作った料理を食べる櫻井さん。
お酒を飲む姿がかっこいい。
いつもは近所の爺さんや、仕事帰りのサラリーマンばかりだから、よけいにかっこよく見える。

服を着替え、店の手伝いを始める俺。
今日はいつもと違って緊張する。
それは櫻井さんが見てるから。
すごく視線を感じる。
そんなことで緊張するなんて、やっぱ俺、女子っぽくねぇ?


「おいっ潤、ビール1本」

「はいっ、ビール」

「あれっ?今日は飲みすぎだとか、小言言わねぇな。調子狂うな・・・どうした?」

「うるせぇ!
いらねぇなら、ビールさげるぞ」

「悪い悪い、ビール下さい」


櫻井さんはそんな俺の姿をみて、微笑んでいた。
緊張がほぐれてきた俺は、いつもの調子でお客の相手をしていった。


「すみません、お会計お願いします」


1時間くらいしてその声に振り返ると、櫻井さんはお会計をしていた。
心の中で俺は“えっ、もう帰るの?”って思った。


「ごちそうさま・・・またな」

「お袋、ちょっとごめん」


俺は店を出ていく櫻井さんを追いかけた。


「櫻井さん・・・
もう・・・もう帰っちゃうんですか?」

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