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知らない世界

第34章 覚悟

「お前その言葉、嘘じゃないな?」

「嘘じゃないです」

「そっか・・・
お前しばらく櫻井さんと連絡とってないだろ?」

「会ってないし、電話もまともに話してないです」

「やっぱり・・・櫻井さんと話してこい。
実は昨日店に来て、お前がケガしてバイトにしばらく来れないって、わざわざ詫び言いに来てくれてな、お前と同じようなこと言ってたよ」

「同じような・・・こと?」

「あぁ・・・
自分と一緒にいたら、また危ない目に合わせるんじゃないか、夢を奪ってしまうんじゃないかとか。少し思い詰めていたようにも見えたな。
あの人との付き合ってきて、あんな姿見るの初めてだよ。
はじめは“えっ、男なんて・・・”て思ったけど、お前を見てて、惚れる理由がなんとなくわかった気がするよ」


俺は黙って大将の話と仕込みの音を聞いていた。
しばらくして勢いよく立ち上がった。


「大将俺・・・
俺今から翔さんとこ行ってきます」

「送っていってやろうか?」

「大丈夫です。一人で行けます」

「気を付けて行けよ。
店の手伝いはいいから、退屈だったらいつでも店に顔を出せ」

「ありがとうございます。いってきます」


店を出て、マンションに向かった。

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