
知らない世界
第35章 盃
「兄貴・・・」
「テレビとかVシネとかでしか見たことないよ。
こう言うことって兄弟の杯を交わすとか、契りを交わすとか言うんでしょ?」
「テレビでたろうが何だろうが、それだけわかっていれば充分だ。だったら・・・」
「ただいま・・・おい、どうした?
何してるん・・・潤、何してるの?」
出掛けていたかずが帰ってきた。
「あっ、若・・・」
「かず、ごめん。ちょっとここ借りてるね」
「お前、何・・・するつもりだ?」
俺に近づこうとしたかずを、大野さんは止めた。
「俺は翔さんの、この世界の事は全然わからない。
多分、いつまでたっても理解できないと思う。
翔さんの役に立つことなんて何もないかもしれない。
でもね、俺にできることは何かって考えたら、身の回りの世話くらいかなって。
若頭が、兄貴が汚ならしい格好してたり、体調悪くしてたらいけないでしょ?
上に立つ人間として、絶対ダメだもん」
「潤・・・」
「ケガが治ったらちゃんと学校行って、免許取ってお袋や大将みたいな店を絶対持つ。
車の免許も取りに行くよ。
取ったら翔さんを乗せてあげるから。
だから・・・だから・・・」
「テレビとかVシネとかでしか見たことないよ。
こう言うことって兄弟の杯を交わすとか、契りを交わすとか言うんでしょ?」
「テレビでたろうが何だろうが、それだけわかっていれば充分だ。だったら・・・」
「ただいま・・・おい、どうした?
何してるん・・・潤、何してるの?」
出掛けていたかずが帰ってきた。
「あっ、若・・・」
「かず、ごめん。ちょっとここ借りてるね」
「お前、何・・・するつもりだ?」
俺に近づこうとしたかずを、大野さんは止めた。
「俺は翔さんの、この世界の事は全然わからない。
多分、いつまでたっても理解できないと思う。
翔さんの役に立つことなんて何もないかもしれない。
でもね、俺にできることは何かって考えたら、身の回りの世話くらいかなって。
若頭が、兄貴が汚ならしい格好してたり、体調悪くしてたらいけないでしょ?
上に立つ人間として、絶対ダメだもん」
「潤・・・」
「ケガが治ったらちゃんと学校行って、免許取ってお袋や大将みたいな店を絶対持つ。
車の免許も取りに行くよ。
取ったら翔さんを乗せてあげるから。
だから・・・だから・・・」
