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知らない世界

第37章 いやな客

さしさわりのない会話をしながら食事をした。
終始にこやかな常連さん。


「ふぅ~食った食った」

「ごちそうさまでした」

「潤君、今日は俺がご馳走するよ」

「そんな事、駄目ですよ」

「いいんだよ。
お店以外で潤君に会えて嬉しいんだ。
前に焼き肉誘ったときは断られたからさ。
こんな偶然、いつ来るかわかんないし」

「本当にいいんでしょうか?」

「いいのいいの。
またお店行ったとき、その最高に可愛い笑顔を見せてくれればそれでいいよ」

「ありがとうございます。
では今日はご馳走になります」


“最高に可愛い笑顔を・・・”って、女子に言う言葉じゃねぇ?


「ありがとうございました。それじゃ・・・」

「潤君、どっち方面?」

「え~と、◯◯方面ですけど」

「な~んだ、俺も今からそっちに営業に行くんだ。乗せていってあげるよ」

「いやっ、そこまでしてもらっては・・・」

「ついでだよ、つ・い・で」

「はい・・・じゃあ・・・」


あまり気乗りはしなかったけど、断る理由もなく乗せてもらうことにした。


「他の潤君ファンが聞いたら怒るだろうな。
何かデートしてる気分だよ」


何も言えず、俺は黙っていた。


「この人も・・・そうなんだ」

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