テキストサイズ

知らない世界

第37章 いやな客

「ねぇ潤君、今付き合ってる人いるの?」

「なっ、何ですか急に・・・」

「そんなに驚くような質問だったかな?
あのさぁ、今決まった人がいなかったら俺と付き合ってくれない?」

「はっ、はい?
いやぁ、何を言ってるんですか、男なんかに。
それに奥さんいるじゃないですか」

「あまりにも潤君が可愛くって、相手が男の子でもこれは不倫になるのかな?
やっぱ不倫は嫌かな?」

「嫌とか嫌じゃないとか、そんなんじゃなくて、俺は・・・」

「潤君からそっちのオーラと言うか、感じるんだ。
何なら学費とか援助してもいいと思ってる。
どう、駄目かな」


運転しながら俺の手を握る。


「すみません、俺今好きな人がいるんです。
申し訳ないですけど、お受けできないです」

「そんな事言わないでさ・・・ねっ!」


握っていた手を離し、俺をギュッと握った。


「やめてください・・・やめて・・・」


ちょうど赤信号になりドアを開け、車を降りた。


「あっ、ちょっと潤君」

「今日はありがとうございました。
ごめんなさい、またお店に来てください」


ドアを閉めて頭を下げ、俺は立ち去った。


「あ~あ、危なかった。
ったく、中途半端な場所だな」


歩き始めた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ