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知らない世界

第37章 いやな客

「まぁな。俺に嫁がいたらおかしいか?」

「そうじゃなくて、これだけ大将にお世話になっていて1度もお会いしたことがないから・・・」

「凄く美人で料理も上手くて、俺にはもったいない女だったよ」

「だったって、どういう事ですか?」

「・・・死んだよ、ヤ◯ザに刺されて」

「あっ、ごめんなさい」

「いいよ、かまわない。
その色々始末してくれたのも櫻井さんなんだ。
恩返ししきれないくらいだよ」

「そう言う俺も大将にはお世話になってるんで、どうお返ししたらいいのか・・・」

「そんな事は気にしなくていい。
ただお前にその気持ちがあるのなら、頑張って自分の店を持つ夢をかなえることだな」

「そう言われると思ってました。
でも俺、本当にがんばります」


掃除に料理の仕込みの手伝いをする。


「そうだ。
店にある材料、何を使ってもいいから、何か作ってみろ」

「でもそんな・・・」

「いいから・・・ほら」

「はい」


よく翔さんに作るお酒のつまみを2品作った。
1品はお袋が店でよく作っていたもの。
もう1品は俺が考えたもの。


「おっ、旨いじゃねぇか。
よしっ、今日これメニューにくわえよう」


初めて俺の作ったものが、お客さんに出される。



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