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知らない世界

第37章 いやな客

慌てている俺を見て、男達がニヤリと笑っているように思えた。


「今は仕事中・・・集中集中」


また扉が開き、お客さんが入ってきた。


「いらっ・・・しゃいませ」

「じゅ~ん君」


あの客だ。
来る時間がいつもより遅い。
閉店まで一時間もない。
俺はポケットに入れられたメモをずっと無視していた事を、何か言われるかと気にしながらおしぼりを持っていった。


「いらっしゃいませ・・・ビールで?」

「ビールとあと・・・」

「潤君のおつまみ追加お願い」

「何、潤君が作ったおつまみがあるの?
僕もそれ1つ」

「はい・・・」


俺のおつまみの注文が入り、厨房に入った。
男達の視線が気になる。
そしてあのお客の視線も気になる。
気のせいなのか、うぬぼれなのか、あのお客は俺の事をイヤらしい目で見ているような気がする。


「お待たせしました」


料理を置こうとすると、受け取るふりしてまた俺の手を触る。
それがなんだかゾ~っとする。
離れようとしたとき、またポケットに何かを入れられた。
この前よりは少し小ぶりな包み。


「ったく、懲りずに・・・何だよ」


イラッとしていると、男達が帰る支度を始めた。

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