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知らない世界

第38章 領域

神崎さんが組を離れてから数週間。


「翔さん、神崎さんから何か連絡あった?」

「今のところは・・・気になるか?」

「そりゃなるよ。
何か危ない目にあってるんじゃないかって」

「ところで潤、神崎と約束って、何の約束したんだよ」

「それは・・・言えないよ」

「何でだよ」

「だって・・・言わないでくれって」

「いいから話せよ」

「・・・翔さん達には指一本出させないって。
自分が翔さん達を守るって、約束してくれた」

「あいつがそんな事を・・・」

「内緒にしてほしいって言われていて、話しちゃった・・・俺、約束やぶっちゃった」

「大丈夫だよ。
あいつが無事組に戻れることを祈ろう」

「そうだね。
神崎さんの好きなものって何かな? 
約束だから、帰ってきたらご馳走しなきゃね」


組に翔さんを送り届け、学校へ向かった。
学校と店との距離は、徒歩で10分くらい。
車は大将が借りてくれている駐車場に止めて、学校まで歩いていく。

名張の再興を神崎さんは止めることはできるんだろうか。
神崎さんはただの組員。
俺が知っている限り、上の人をくい止める事ができるほどの地位ではなかったはず。
拉致られた俺の見張りをさせられていたくらいだから・・・


「ねぇ大将、神崎さんは名張の再興を止めることはできるでしょうか」

「そうだな・・・一言で言ったら無理だろう。
でもあいつにも、何か考えがあっての事。
信じて待っていよう」

「そう・・・ですね」


何だろう・・・何か胸騒ぎがする。


「何も起こらなきゃいいんだけどな」

「お前はもう、立派な若頭の男だな」







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