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知らない世界

第5章 仲直りのお礼

「おじゃましま~す」


そんなに派手ではなく、かといって男の一人暮らしの汚ならしい感じもない。
ドラマで見るような、ちょっとお洒落な感じの部屋。


「コーヒーでいいか?」

「はい、ありがとうございます」


革張りのソファーに座る俺。
初めて彼女の部屋に行ったように、ソワソワしている。
まぁ、彼女いたことないから、よくわからないけど。


「はいコーヒー。好きなの食べていいぞ」

「うわっ、すげぇ・・・」


2人だよね・・・と心の中で確認してしまった。
この人はいくつケーキを買ったんだ?


「好みがわからないから、適当に買ってきた」


適当の数が半端ないんですけど。


「え~と・・・これにしよっ!
櫻井さんはどれにします?」

「俺は酒のむから・・・いらない」


残りのケーキは、どうするんだよ?


「あとは持ってかえって、お袋さんと食べてくれ」


そう言って、氷を入れたグラスにお酒を注いだ。
ネクタイをはずし、2・3個ボタンをはずし、深くソファに座りグラスのお酒を飲んだ。


「カッコいい・・・」


ケーキを口に運んだフォークをくわえたまま、その横顔をじっと見つめてしまった。

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