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知らない世界

第1章 むなくそ悪い出会い

「はっ・・・!」


こいつは俺の顔と、大きく開いた胸元を見て、なぜか驚いたような顔をした。
そして急に手を離した。


「和也さん・・・」


舎弟っぽい2人が近づいてくる。


「もういい。
おいお前、俺が誰かわかってるのか?」

「さぁな。
どこかの2代目で、自分と同じ高校生相手に金巻き上げてる、セコい野郎ってことくらいかな」

「何だとコノヤロ!」

「もうやめろ。
そこまで知ってて、たてつくとはいい度胸じゃねぇか。
お前の顔、忘れないからな・・・行くぞ」


そいつは舎弟の2人を連れて去っていった。


「潤・・・助かったよ、ありがとう」

「この前話してたばかりなのに、本当に運の悪いやつだな」

「本当だよ・・・
あっ、でもお前の制服、ボタンが取れちゃって、おばさんに知られたら、また心配するよね」

「大丈夫、ネクタイで隠して、自分でボタンなおすからさ」

「ごめん、俺が弱すぎるから、いつも潤に迷惑かけちゃって・・・」

「別にいいよ、気にしてないし。
まぁ、金も取られず、ケガもなかったんだからそれでいいんじゃね?」

「うん。
あっ、今日行ってもいい?」

「今日おばさん夜勤の日だったな・・・いいよ」


去っていったはずのあいつに、少し離れたところから見られていることに、気づきもしなかった。




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