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知らない世界

第41章 襲名披露

時間が近づき、いろんな組の組長さん達がやって来た。
みんな大広間に案内され、運転手さん達は別の部屋に通された。
時間になり、大広間に向かおうとした翔さんを心配そうに見る大野さんと神崎さん。


「櫻井の兄貴、大丈夫ですか?」

「大丈夫って、俺何かおかしいか?」

「何か凄く疲れてるみたいで・・・」

「あれからいろいろあったからな。
シャキッとしないとな・・・ありがとう」

「クスクスッ・・・」

「んっ?どうした潤、何かおかしかったか?」

「いや、別に・・・」


翔さんと目が合った。
つい何分か前に翔さんの部屋でHしてたから、疲れてるに決まってるよ。
2人が心配してくれてるけど、理由がわかってる俺は笑わずにはいられなかった。
俺がどうして笑ったかわかった翔さん。

ーバシッ!ー

俺の頭を叩く翔さん。


「イテッ・・・何すんだよ」

「こんな緊張感のあるところで、ニヤニヤして不謹慎だぞ」

「は~い、すんません」


てかその不謹慎なことをしたのはどっちなんだよ!
軽くムカつくんですけど。

大広間に組長さん達か集まり、翔さんとかずのお父さん、そしてかずも大広間に向かった。
俺はまた大野さんと一緒に部屋の後ろに座った。
何だろう、今まで経験したことのない緊張感。
この部屋だけ空気が違うって言うか、ピンッと針積めているような気がする。
俺はただこの一連の流れを見ているだけ。
数十分前に部屋で俺を抱いたときの顔とは違う、全く別人のような顔の翔さん。
カッコいいと言うよりは、凛々しいと言った感じかな。
何か凄く遠い存在になってしまった感じがした。
隣にいた大野さんが凄く小さな声で、俺に声をかけてきた。


「どうした潤・・・お前・・・」

「えっ!?・・・あっ!」


知らないうちに俺は涙を流していた。

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