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知らない世界

第41章 襲名披露

お連れの人達の部屋を出て、キッチンに戻った。


「しかしお前、いい度胸してるよな。
よくもあんなことが言えたよ」

「でも組長さんを乗せるんですよ。
何かあったらどうするんですか?」

「それはかたぎの考え。
でも何か納得してくれたし、よしとするか」

「あの・・・何かすみません」


飲酒運転はいけないって、当たり前の事言ってるだけなのに・・・
その考えってヤ○ザもかたぎも関係ないと思うんだけどな。


「大広間に酒を運ぶぞ」


ビールに熱燗を持っていくと、翔さん、かずのお父さん、大野さんにかずまでもお酌にまわっていた。


「君・・・」


そんな声が聞こえて振り返ると、一人の組長さんと目が合った。
組長さんは俺に手招きをした。


「はい、何か・・・」


近付き前に座ると、その組長さんは盃を手にした。


「酌してくれないか?」

「はい」


お酌をすると、組長さんはそのお酒を一気に飲み干した。


「君も飲むか?」 

「すみません、自分飲めないので・・・」

「ヤ○ザに勧められて断るなんて、いい度胸してるな。
さすがに名張を潰すのに一役かっただけあるな」

「あの件は、自分は何もしてないです。
むしろ自分はこの組の人達に迷惑をかけただけです」

「君は真っ直ぐないい目をしてる。
喧嘩も強いみたいだし、かたぎにしておくのはもったいない。うちに欲しいくらいだよ」

「そんな・・・たいしたことないです」


もう一杯お酌をして、頭を下げ俺はキッチンに戻った。
しばらくして宴が終わり、組長さん達が帰り始めた。
俺はまたスーツに着替えさせられ、お見送りをさせられた。


「だから部外者の俺にこう言うことをさせる理由を、誰かわかるように説明してくれよ」


と、心の中で叫んでいる俺。

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