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知らない世界

第42章 知らない世界

「翔さん俺、かたぎ辞める」

「かたぎ辞めるって、使い方間違ってる気がするけど、どういう意味だ?」

「俺、かたぎ辞めて組に入りたい。
てか入れて欲しい」

「お前、自分で何言ってるかわかってるのか?」

「わかってるよ。
だから退院したら言おうと思ってたけど、俺なりにもう少し冷静に考えて、半端な気持ちじゃないって確信したから、こうして話してるんだよ」

「もしかして今回の件か?」

「きっかけはね。
もとはといえば俺の行動が引き金なってる。
俺は翔さんを守るって言っておきながら、結局俺が迷惑をかけて俺が守られている。
それはたぶん俺がかずの友達、翔さんと付き合ってる人・・・だからなんだよ」

「違う潤・・・」

「翔さんを守る、助けてくれる人はたくさんいるよ。
俺はその1人になりたいんだよ。
それはかたぎのままじゃ無理なんだって気が付いたんだ」

「今のままでも十分お前は俺を助けてくれてる。守ってくれてるじゃねぇか」

「それじゃ足りないんだよ。
それに俺は無意識とはいえ、俺は・・・」

「潤、だからそれは正当防衛なんだよ。
それにお前は自分の店を持つって夢はどうするんだよ」

「それはもういい。
でも俺、もう決めたから・・・」


翔さんは黙り込み、グラスに入ったビールを飲み干し、空いたグラスにまたビールを注ぎ、それをまた一気に飲み干した。


「翔さん・・・」

「お前の気持ちはよくわかった。
組長だとは言え、今ここで返事はできない。
少しだけ考えさせてくれ」

「わかったよ。
でも俺の気持ちは変わらないからな」

「あぁ・・・
悪いけど潤、ここの帰り組まで行ってくれないか?」

「うん、わかった」


店を出て、組に向かった。
俺も降りようとしたら、帰るように言われ、1人寂しくマンションに向かった。

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