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知らない世界

第42章 知らない世界

「組に入る必要はない」

「どうしてですか?」

「あらためてそんなことしなくても、もうお前は組の人間なんだよ。
みんなの前で、兄貴と盃かわしただろ?
それで若いやつらは、お前が組のものとしてもう受け止めているから大丈夫だ」

「でもあれは翔さんとの関係でやったこと。
組に入ったわけじゃ・・・」

「あの場所であぁ言う事は、お前は兄貴との事だけと思ってるかもしれないけど、お前はもう組のもの同然なんだよ」

「えっと・・・」

「だからあらためて組員になるとかならないとか、お前の場合かしこまることはねぇんだよ」

「でも俺、組の事何もたずさわってないし」

「こんなにもよその組の者に狙われて、命落としそうになって、たずさわりすぎだよ。
若い者よりたずさわってるよ」

「・・・」

「・・・よしわかった。
お前、兄貴とかわした盃あるか?」

「はい、いつもカバンに入れてるんで」


カバンから盃を取り出した。


「兄貴、酒ありますか?」

「そこに入ってる」


さらしをはずし、盃をテーブルに置くと大野さんお酒を注いだ。


「え~と・・・これは?」

「もう一度、兄貴と盃をかわせ。
あのときの兄貴は若頭だったけど、今は2代目組長だ。
組長の兄貴と盃かわせば、お前は組員と同じだ。
いいですよね、兄貴・・・いや、2代目」

「潤、お前は納得できるか?」

「・・・やっぱよくわかんねぇよ。
でも、翔さんとずっと一緒にいられるなら、それでいい」

「バーカ」


翔さんが先にお酒を飲み、そのあと俺が飲んだ。


「これで一件落着だ。
まったく兄貴も潤の事になると、何もできなくなるんだから・・・」

「悪かったな」

「潤も兄貴を困らせるようなことするんじゃねえぞ・・・?どうした潤」

「・・・きっ・・・気持ち悪い!」



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