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知らない世界

第42章 知らない世界

「櫻井から君の考えてること、思ってることを聞いたよ。
うちの若い連中に聞かせてやりたいくらいだよ」

「いやぁ・・・」


語彙力無さすぎて返す言葉が見つからない。


「これを君にあげよう」

「えっ・・・何ですか?」


かずのお父さんが、かずに俺のところに持っていくように指示をした。
かずはそれを俺の前まで持ってきた。


「ほら潤」


それは例えるなら指輪が入っているような箱。
それよりはちょっと小さい。


「開けてみ?」

「うっ、うん・・・何これ?」


入っていたのはバッチだった。


「これは・・・」

「うちの組のバッチだよ。
君は正式にうちの組員だってことだよ」

「こんなものもらうなんて、申し訳ないですよ」

「でも君はかたぎをやめて、組に入りたかったんじゃないのか?」

「言いました。
でもこんな・・・もらうつもりじゃあ・・・」

「組に入ると言う事は、こう言う事なんだよ。
これがなきゃ、うちのものだって証明にならないだろ?」

「でも・・・いいんですか?
俺みたいなのがバッチをもらっても」


俺はチラッと翔さんの顔を見ると、翔さんは深々とかずのお父さんに頭を下げていた。


「親父さん、ありがとうございました」

「ったく、もうお前がこの組のトップなんだからお前が判断すればいいことなのに、こいつはきみにはかたなしのようだな」

「ありがとうございました」


俺も深々と頭を下げた。
チラッと目に入ったかずの顔が、少しくもっているように思えた。


「かず、これからも友達でいてくれるか?」

「当たり前だろ。
今の俺があるのは、お前のお陰なんだからさ」

「また遊びに行こうぜ」


かずの顔が笑顔に変わった。


「松本君、1つ条件をつけてもいいかな?」

「条件・・・ですか?」

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