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「条件ってなんでしょう」


翔さんとかずの表情も一瞬、固くなった。


「なぁに、そんな難しいことじゃないよ。
料理の勉強をして、自分の店を持つこと。
夢なんだろ？」

「そうですけど、組に入れてもらったらそんなことしてられない・・・」

「君の役目は２代目としての櫻井をサポートする事だ。
とても重要な事なんだよ」

「それじゃあ下の者にしめが・・・」

「松本君はこの組とどれくらいの付き合いをしてきたんだ？
それくらいみんな理解をしてるよ」

「俺、頑張って自分の店持てるように頑張ります。
店を持てたら、かずのお父さんを最初のお客さんで招待します」

「そのいきだ、頑張りなさい。
それにいつまでも和也の友達でいてやってくれ」

「ありがとうございます」

「さぁもういい時間だから、今から一緒に食事に行こう」

「はいっ！」


かずの運転でかずのお父さん、俺の運転で翔さんを乗せて、食事に出かけた。
あのいつもの料亭に、この組み合わせは初めて。
と言うか、俺は翔さん以外とはここへは来たことがない。
何だか不思議な感覚。
緊張してはいるけど、でも何だか楽しい。
俺は物心ついたときには親父はもういなかった。


「こんな感じなのかなぁ・・・」

「えっ、何か言ったか？」

「うぅん、別に」


親父がいたらこうやって一緒に飯食って、酒なんか一緒に飲んじゃったりしてたかもな。
何か俺、１人でしんみりしちゃったよ。


「今日はありがとうございました」

「失礼します」


店の前でかず達と別れた。
黙って運転していると、突然俺の手を握った。


「どうかしたのか？」

「んっ？
親父がいたら、あんな感じなのかなぁって考えてたら、ちょっと寂しくなっちゃった」

「お前には俺がいるだろ？
俺だけじゃ不満か？」

「不満なんて思ってないよ。
翔さんがいなきゃ俺、死んじゃうよ」

「可愛いこと言うね。
このままここで、襲っちゃうぞ」

「駄目だよ、俺運転中だよ」