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知らない世界

第7章 最悪なあとに

「何です・・・か?」

「お前さ、どうしてこんなにもドキドキしてるんだ?」

「えっ・・・
別にドキドキなんてしてない・・・あっ」


さらしを巻き終わる櫻井さんの手が、俺の胸におかれた。
さらしを巻いてくれている櫻井さんとの距離が、あまりにも近すぎて、確かに俺はドキドキしていた。


「生きてますから、ドキドキくらいしますよ。
そんなことあらためて聞かれると、余計にドキドキしますよ・・・?!」


胸におかれていた手が、俺の体をギュッと抱き締めた。
シャツのボタンをはずしていた櫻井さんの胸が、さらしを巻いていない背中にあたる。
櫻井さんの体が凄く・・・熱い。


「櫻井・・・さん?
どうしたん・・・ですか?」

「お前の体、凄く熱いけど・・・どうして?」

「シャワーを浴びたから・・・ですよ。
出てきたばかりだから・・・だからですよ」

「なぁ潤、わかるか?
俺の心臓が凄くドキドキしているの」


背中を通して、櫻井さんの心臓の音が伝わってくる。
俺のドキドキがさらに激しくなる。


「わかります。
櫻井さんの熱もドキドキも、背中から伝わってきます」


俺は胸におかれていた手を握った。



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