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知らない世界

第7章 最悪なあとに

「聞いていいですか?」

「答えられることなら」

「あのとき・・・食事に連れて行ってくれたときどうして・・・あの・・・」

「帰りにお前にキスしたことか?」

「えっ・・・まぁ・・・はい。
どうして・・・かなぁ・・・って」

「俺もこの世界に入って何年にもなって、若い連中には兄貴なんて呼ばれるようになった。
ヤ⚪ザだから、まぁいろんなことやってきたよ。
ヤ⚪ザだから、それなりに度胸もあるよ。
だけど・・・」

「だけど、何ですか?」

「お前といると、平常心でいられなくなるんだよ。
どうしていいのかわからなくなるんだよ」

「・・・」

「あのときも、少しでもお前といたい、別れたくないった思ったらつい・・・
悪かったな、嫌な思いさせたかな?」


その言葉に、何だか嬉しいと思った。


「嫌だったらこの俺の手、思いきりふりほどいてくれていいんだよ。
ケンカが強かったお前なら、出来るだろ?」


さらに強く手を握り、俺の体から櫻井さんの腕を離した。


「やっぱり男にこんなことされるなんて、気持ち悪いよな・・・ごめん。
もうこんなことしないから・・・!?」


俺は背中を向けたまま、しばらく黙っていた。


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