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知らない世界

第7章 最悪なあとに

俺の肩に手をおき、自分のほうへ向かせた。


「お前、今まで彼女とどうしてたんだ?」

「彼女いない歴、17年・・・」

「マジか・・・信じられねぇよ。
お前みたいな可愛いやつ、みんな見る目ないんだな」


嬉しいような、何か見下されているような・・・


「ごめんな潤。
初めての相手が俺なんかで・・・ごめん」

「謝らないで、櫻井さん。
謝られたりすると、何か悲しいよ。
俺、初めての相手が櫻井さんでよかったかなって思ってたりして・・・えっ!?」


引き寄せられ、抱き締められた。


「気持ち悪がられたんじゃないかって、凄く心配したよ・・・よかったか」


抱き締められた腕の中で、櫻井さんの体温を感じ、それがとても心地よく思えた。


「やっぱ俺、お前に悪いことしたみたいだよ」

「何が悪いことなんですか?」

「お前、あのときが初めてのキスだったんだよな?」

「はい・・・」


恥ずかしいから、何度も言わせないでって。


「あんな下手くそなキスが、お前のファーストキスになってしまったなんて、悪いことしちゃったよな」


体を少し離し、軽くあごクイされた。


「本当は俺、キス上手なんだよ」


俺の唇を包み込むように、長めのキスをした。







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