夜空は百合の花を狂気的に愛す
第5章 ラベンダー
家につけば、鏡夜さんが私たちの帰りを待っていたようで玄関で迎えてくれた。
「ユリちゃん、おかえり。ずっと子供たちだけにさせていて済まないね」
少し申し訳なさそうにする鏡夜さんにそんな大丈夫ですよと笑う。
そんな私達を見る夜くん。
「そうだよ、俺達だってもう子供じゃないんだからさ。てか親父、俺達には何か言うことないワケ?」
「私からしたらまだまだ子供だよ。それにお前たちは私がいなくて寂しいと思ったことなどないだろう?」
「確かにないけど…」
夜くんの横でうんうんと頷く空くん。
夜くんと空くんって鏡夜さんに対してはなんか冷めてるのよね。
まあ、男の子ってそんなものなのかしら?
1人納得する。
すると、思い出したかのように鏡夜さんが話し出した。
「ああ、そうだ。今夜は久しぶりに私が料理を作ろうと思うんだ。これから買い物に行くから、ユリちゃんもついてきてくれないか?」
「え?勿論いいですけど…」
なんで私?
それは夜くんも思ったようで。
「なんで、ユリさん?俺達でもいいでしょ」
「…いいじゃないか。娘と一緒に買い物に行くのが夢だったんだ」
そう言う鏡夜さんにそれでも不満げにする夜くん。
「そうよ、すぐ帰ってくるから心配しないで。」
見兼ねて私がフォローすれば、夜くんが眉をひそめながらもまあいいやと納得してくれた。