夜空は百合の花を狂気的に愛す
第5章 ラベンダー
放課後になって今日は珍しく夜くんも一緒に帰れることになった。
正直、今は空くんが怖い。だから夜くんがいてくれて良かった…
「ユリさん、今日は親父が帰ってくるって」
「え!?鏡夜さんが?」
「うん。また長期の海外出張に行くことになったらしくて一旦うちに帰って荷物纏めるらしい」
「そっか…忙しいのね」
夜くんや空くんと暮らすようになってから最初の方はお母さんも鏡夜さんも家にいたけど段々家にいる日は少なくなってしまった。
お母さんも鏡夜さんも仕事人間だから、ほとんど家に帰らないのよね…
けど2人を見てると相変わらず幸せそうだから、それでもいいのかもしれない。
「ユリ、今日はできないね…」
「え?何を?」
「愛し合うの。」
空くんにヒソと言われてぼっと顔を赤くする。
忘れていた…!そんなこと。いや、忘れさせてよ…
確かに鏡夜さんがお家にいるなら、できないよね。
もしあんなところ見られたら…
想像してゾッとした。
「大丈夫だよ。親父がいるのに手出したりしないから」
そんな私を見兼ねたように夜くんが笑った。