夜空は百合の花を狂気的に愛す
第2章 オトギリソウ
ひーくんを見つめれば、そっぽを向いて別になんだっていいだろと呟く。
余り聞かれたくないことなのかしら?なら無理に聞くこともないわね
私はそう思ったけどこの双子はどうにも気になるようで。
「え〜俺気になるなあ。こんなモテモテな人が彼女作らない理由」
「…もしかして、ユリのこと好きなの?」
「………は?」
「え?」
今まで黙っていた空くんがボソリと言った言葉に私とひーくんは唖然とする。
ひーくんが、私の事を好き?
ぷっと口に手を当てて笑う。
「っあはは、そんなことある訳ないじゃない。私とひーくんは幼馴染ってだけ。お互いそういう目で見てないわよ」
あーおかしい!
ひーくんはきっと私のことを妹か、それこそ親友かなんかにしか思っていないでしょ。間違っても恋愛になんて…
クスクスと未だ笑う私をなぜか複雑そうな顔をしたひーくんが見ている。
「…ってあ!そろそろ先生とこ戻らなきゃ怒られちゃう!私、愛子が待ってるから先行くね」
じゃ、と踵を翻して3人の元から去って行く。