夜空は百合の花を狂気的に愛す
第1章 ブドウ
あらやだ本当だわと呑気に言い放つお母さんは私をいつもの定位置に座らせると話し始めた。
「実はね、お母さんこの鏡夜さんと再婚することにしたの。まぁもうしたんだけどね!」
えへ!なんて言っておっちゃらける母
「そ、そうなんだ…おめでとう、お母さん」
「あれ、ユリちゃんは再婚のことを知らなかったんだよね?こんな簡単に再婚を許してくれるのかい?」
このダンディーなおじさんが鏡夜さん…
お母さんの好きな人か…
「はい、今初めて聞きました。でもお母さんが幸せになれるなら私は良いんです。お母さんが幸せそうにしてるのを見るのは私も幸せですから」
「「ユリ(ちゃん)…」」
お母さんと鏡夜さんが私の言葉を聞くと顔を見合わせて瞳をウルウルし始めた。
ふふ…二人とも泣き虫なとこそっくり。
こんな優しそうな人だったらお母さんも絶対幸せになれるに決まってるわね。