夜空は百合の花を狂気的に愛す
第2章 オトギリソウ
放課後になれば、当たり前のように双子が私の元へやってきて帰ろうと言ってきた。
ひーくんが何か言いたげに私を見ていたけど、双子に引っ張られて何も聞けずに帰ってしまった。
思えば、体育の授業からひーくんは変だ。
私が話しかけると何故かぎこちないし、ふとした時に双子をじっと見つめて何か考えこんでいた。
…もしかしてひーくん、2人と仲良くなりたいとか?あの2人バスケ上手かったし、何か馬が合ったのかも。
私が見当違いなことを妄想していると、夜くんが私の視界に入ってきた。
「ユリさん、美味しい?」
「え?あ、ええ。凄く美味しいよ」
「本当?よかった!」
ぱーと花が咲いたように笑う夜くんにふふ、と笑う。
今日もお母さん達は帰りが遅くなるようで代わりにと夜くんが料理を作ってくれた。
見事な包丁さばきとスピードですぐに美味しそうな洋食が机に用意された時は女として負けたと思ったのは秘密だ。
私、裁縫は得意だけど料理関係は滅法弱いのよね…