夜空は百合の花を狂気的に愛す
第2章 オトギリソウ
結局試合は陽向たちの惨敗だった。
試合が終わり、裏に戻った陽向にコーチやチームメイトは責め立てようとしたが、陽向が倒れ込んだのでそれは出来なかった。
試合が終わったというのに未だ荒い呼吸を繰り返す陽向にチームメイトは不思議に思いながら、コーチが何気なく足を見る。
「ッお前!足を見せろ!!」
なんだ?と他のチームメイトも足を見るとなんてことか。陽向の両の白いバスケットシューズが血で真っ赤に染まっているではないか。
コーチが無理矢理靴を脱がすとバラバラとカッターの破片と同時にズタズタになった陽向の足が出てきた。
「お、おい…なんだよこれ…誰がこんなことしたんだよ!?」
「落ち着けって!それよりも陽向、大丈夫か!?」
チームメイトがザワつく中、陽向は足の痛みよりもぼやける視界よりもユリを思い出していた。
(勝ったら告白しようと思ってたのに…こんなんじゃどうしようもないじゃないか。あんな無様な姿を晒して俺は…)
陽向は周りが騒いでいるのを全て無視して自分を責め立てていた。