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夜空は百合の花を狂気的に愛す

第3章 ムラサキツユクサ


「でもデートって何をするの?」

生まれてこの方、私は誰かとお付き合いしたことがないからデートというものがなんなのかそもそもわかっていない。

手繋いで出掛けて…それぐらいの知識しかないけど。

「ん、まあユリさんは楽しみにしててよ!連れて行きたいところがあるんだ。」

「え、ええ…」

そう言われて2人に連れて行かれたのは巨大な水族館だった。

「すごい…水族館なんて久しぶりだわ」

大きなガラスケースには様々な魚が泳いでいる。その様子はさながら絵画のようでとても美しかった。

最後にきたのは小学生の頃かしら…まだお父さんが生きていた時にお母さんと3人で行ったのよね。

大きな魚を見て感嘆をあげる私を見て嬉しそうにする夜くんと空くん。

「良かった、喜んで貰えて。絶対ユリさんはこういうのが好きだと思ったんだ」

「水族館初めてだけどユリが喜ぶなら好きかもしれない」

「え?水族館初めて来たの?」

誰でも1度は来たことあると思ったんだけど…

「うん、初めてだよ。俺達、小さい頃は海の近くに住んでたんだ。だから水族館に行かなくても魚を間近で見れてたから行ったことはないかな」

「へえ〜海の近くに住んでたのね。私も小さい頃、親戚の海の家に何回か遊びに行ってそこにいた子と遊んでいたわ」

懐かしいわね…

よく海でそこに住んでいた子と遊んでいたな、今ではもう顔も思い出せないけれど。

ふと黙りこくった2人を見れば、驚いた顔をしてこちらを見ていた。

「?どうしたの?」

「…あ、ごめん。ぼーっとしてた。ほら、触れ合いコーナーみたいのもあるみたいだからユリさん行ってみない?」

「行くわ!」

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