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夜空は百合の花を狂気的に愛す

第3章 ムラサキツユクサ

それから本当に私達は楽しんだ。

たくさんの魚を見てイルカショーなんかも見た。

1人はしゃぐ私をなぜか楽しそうに見てくる2人に疑問に思ったけど2人も楽しんでいるようだから良かった。

けれど問題が発生したのだ。

空くんがいなくなった。

「あれ、おかしーな。空の奴、さっきまで一緒にいたのに」

「そうね、人も多いしはぐれちゃったのかしら…心配だし、探しましょう」

「うん。俺は来た道を戻るから、ユリさんはそっちをお願い」

「ええ、わかったわ」

じゃあまた後で!と言って夜くんは走って行った。

私も空くんを探さなきゃ。

家でも水族館でも私にぴったりくっついてたのにいきなりいなくなっちゃうなんて…

空くんは人見知りなところがあるからもし女の人にでも絡まれていたらと思うと心配だ。

なんせ水族館に来てからというもの、2人への視線が絶えなかった。

一緒にいすぎて忘れていたけど彼等って美少年だものね…

キョロキョロと辺りを見回しながら、走り回る。

いっそのことどこかで女の子にキャーキャー言われてれば見つけやすいんだけど…

と思っていたら水族館には似合わない男の怒声が聞こえてきた。

何?喧嘩?

今はそれよりも空くんよと思って構わず無視しようと思ったけど、男の怒声を浴びるのは探していた空くんだった。

え、な、何してるの!?空くん!?

そこにはごつい男達3人組に囲まれている空くんの姿があった。薄暗くて空くんの顔は見えないけど、きっと怖がっているに決まっている。

私は何も考えずただ空くんの前に飛び出した。

「おい、てめぇ…」

「あの!すみません。この子が何かしましたか?」

「…っユリ?」

「あ?ってすげえ美少女じゃん。」

目の前に現れた私を見て目をまんまるにして驚く空くん。

泣いてなくてよかった…

けどここからどうしよう!

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