夜空は百合の花を狂気的に愛す
第3章 ムラサキツユクサ
空くんを背にごつい男達に立ちはだかる。
私よりも、いや決して低くはない空くんよりも大きい…なにより、その自慢げに見せつける筋肉が力の強さを誇っていた。
「ねえちゃん可愛いね。そいつの彼女?」
「…違います、姉です」
「あーそう!なら俺達と遊ぼうぜ。休日まで弟のお守りなんてクソじゃねーか」
「そうそう、俺達ときたらすげえ楽しいこと味わえるよ」
「お前それどういう意味だよ〜!」
ギャハハと笑う男達に虫酸が走る。
最低ね…
どうして空くんがこんな人たちに絡まれたのか分からないけど絶対にこいつらが何かしたに違いないわ
「あー水族館なんてクソつまんねえけど、女探しにわざわざきたら上玉いてよかったな。ほら、お前こいよ」
男の手が伸びてきたのでそれをパシッと叩き落とす
大概私も身の程知らずで気が強いのよ
「あ?何?」
「…結構よ。私はあなた達みたいな下品な人に付き合う気は更々ないわ。」
唖然とする男達を他所に空くんに行こうと呟いて背を向ける。
しかし、男の手が私の手首を痛いくらいに掴んだのだ。
「…っ」
「おい、テメェこっちが下手に出りゃ調子乗りやがって。お前に拒否権なんてねーんだよ。黙ってついてこい」
「離して!」
やばい、空くんを先に逃がすんだった。
それから私も逃げれば良かったんだ…
今更後悔しても遅い。
痛いくらいに引っ張っられる手首に少し涙が出そうだった。
その時、私の後ろにいたはずの空くんが現れて私を掴む男の手首を捻りあげたのだ。
「いってえ!!」
「…お前さ、何ユリのこと触ってるの?」
「空、くん?」
いつもの空くんじゃない。すぐに分かった。