夜空は百合の花を狂気的に愛す
第3章 ムラサキツユクサ
「ちょっとー!見つけたと思ったら抱き合って何してるの?」
「きゃ!夜くん!?」
「夜…」
タイミングよくぬっと現れた夜くんはぷっくり頬を膨らませて怒っていた。
そ、そうだった。夜くんに連絡するの忘れてたわ…
ごめんと謝る空くんに夜くんがまあいいけどと怒りながらも許していた。
その光景を微笑みながら見つめる。
さっきの空くんを思い出す。
私、姉として絶対2人のこと幸せにするからね。もう2人は私の家族なんだから…
あれ?
夜くんの手をじっと見る。
「夜くん、手ビショビショよ。濡らしたの?」
「え?あー…余りにも2人が見つからないから触れ合いコーナーで生き物触ってた!」
にこやかに笑う夜くんに若干呆れる。私、あんなに苦労していたのに…
「でも私が触れ合いコーナー行った時、苦手だから触らないって言ってなかった?」
「ハハまあねーでもちょっと触ったら死にそうになっちゃってさ、やっぱ生き物って殺しちゃいそうで怖いよね」
ど、独特の感想ね…
はい、と夜くんにハンカチを渡せばありがとーと笑っていた。
そして今日はもう帰ろうかって夜くんに言われて私も頷いた。