夜空は百合の花を狂気的に愛す
第3章 ムラサキツユクサ
ちょうど良いタイミングで現れた夜の手は濡れていた。
まさか本当に夜が触れ合いコーナーで遊んでいた訳ではあるまい。
自分と同じ思考を持ったこの男が何をしていたか、空にはお見通しだった。
「…アイツら殺したの?」
アイツら、とは空とユリに絡んできた男達3人組のことだ。
「まさか、半殺しくらいかな。まぁでも、何ヶ月かは病院生活なんじゃない?」
「それはいいけど、もう少し上手くやってよ。ユリに怪しまれる」
「だってさーしょうがないじゃん。あいつらが逃げてからすぐ追いかけてボコボコにして、返り血が手に凄いついちゃったからすぐ洗って走って戻ってきたんだよ。」
「はあ…いつかバレるよ」
夜はふふと目を細めて笑う。
「…でも約束してたでしょ?
絶対離れない、嫌いにならないって」
「…そうだね、俺がだけど。」
「まあ、もし離れるとか嫌いなんて言われても無理矢理にでも縛って犯して誰の目にも届かないところに置くけどね」
「それは賛成」
クスクス
今日も双子は機嫌が良い。
全てはユリの存在が左右する。