夜空は百合の花を狂気的に愛す
第4章 ハボタン
「愛子さん…俺、どうしたらいいと思う?毎日が辛くて堪らないんだ」
ぎゅっと自身の身体を抱く夜はまるで捨てられた子どものようだった。
俯きがちのその顔は悲しみで溢れている。
その姿を見て愛子は自身の胸が締め付けられるような気持ちになっていた。
(あたしが…彼を守らなきゃ。だってあたしが彼の1番なんだから)
愛子は夜を優しく抱き締めた。
「あたしが夜くんを守る!辛いなら全部あたしに吐き出して。あたしが全部受け止めるから!」
「本当に?」
「うん!ほん…んっ」
愛子の顔に手が添えられたかと思うと、夜は愛子にキスをした。
愛子はまさかキスされるとは思わず、目を開かせたが次第に夜の頬を自身の手で撫でる。
そっと唇が離れると愛子は頬を赤くしながら夜に言った。
「辛いなら…あたしの身体、使ってもいいよ」
夜はそれを聞くと無言でまた愛子にキスをした。今度は深いものを。
愛子は目を瞑ってその快楽に身を任せた。
(あたしが夜くんの全てを受け止めるからね…それでユリなんか忘れさせてあたしでいっぱいにしてあげる…)
そんな愛子を冷めた目で夜が見ていたとは知らずに彼女は強く心に誓っていた。