夜空は百合の花を狂気的に愛す
第4章 ハボタン
「あれ?夜くんは?」
家に帰ると夜くんの姿が見当たらなかった。空くんがソファに座りながらこちらを見ている。
「…今日は遅くなるみたい」
「そう、2人でいないって珍しいわね」
2人はいつもセットだったから空くんが1人でいるのはなんだか不思議な感じだ。
空くんの横に腰を下ろすと、当たり前のようにぴったりと空くんが密着してくる。
「…ユリ、昨日の嫌だった?」
「え!?」
考えないように、聞かないようにしていたのに。
まさかそっちから聞いてくるなんて。
「い、いやっていうか…その、ああいうことはしちゃ、駄目だと思うわ」
「なんで?誰とならしていいの?」
「え?それは…好きな人、とかじゃない?わからないけど…」
あんなことするの初めてだから私にはよくわからないわ…!
空くんがずいずいっと迫ってくる。
「俺のこと好きじゃないってこと?」
「え?もちろん好きよ!って、ちょっと近い!」
いつの間にかソファで押し倒されてる形になっていた。段々と空くんの顔が近づいてくる。
「…好きならいいよね?」
「な、んん」
そ、そういうことじゃない!!と叫びたいのにまた私は唇を奪われてしまった。