テキストサイズ

夜空は百合の花を狂気的に愛す

第4章 ハボタン

「お前、鈍いから。俺が好きなんてこと思いもしなかっただろ?」

「ごめんなさい…」

「謝ってほしいわけじゃないって。俺、ユリのそういうところも含めて好きになったんだし」

「なっ…」

さっきから好き好きって…!

言われ慣れてなくて顔を真っ赤にしてしまう。そんな私をからかうようにひーくんが笑う。

「ユリ、すぐ照れすぎ」

「だって!そんなことばっか言うから!」

「…やっぱりアイツらの言ってたこと嘘だよな」

「?え?」

「なんでもない。てかそろそろ母さん帰ってくるだろうからユリも帰れよ。たぶんユリ見た途端、母さんすげー長話始めるだろうしさ」

「ふふ、そうね。今日はもう帰るわ」

あの2人も私の事お家で待っているだろうしね…

ひーくんに見送られて玄関までくる。

「今日は色々、ありがとな。明日からは学校行くから。」

「ええ、こちらこそお邪魔したわ。また明日ね」

手を振ってひーくんに背を向ける。

するといきなりひーくんに手を掴まれた。

驚いて振り返れば、ぎゅっと抱きしめられた。いきなりのことに思考が停止して身体が固まる。

「ユリ、もし何かあったら俺に言え。俺が絶対にお前を守る」

「ひー、くん?」

「……アイツらはお前が思ってるような奴らじゃない。甘い言葉を囁いて自分の良いように操る、アイツらは悪魔だ」

「アイツら、って…」

誰?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ