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夜空は百合の花を狂気的に愛す

第4章 ハボタン


そっと身体から温もりが消える。

「…いきなりごめんな。気をつけて帰れよ」

私はただ黙って頷いてその場を去った。

ひーくんが何を思ってそんなことを言ったのか、ひーくんがどうして弱っていたのか

私には何も分からなかった。

歩きながら抱き締められたことを思い出すように自身の腕に触れる。

何も分からないけど…

この優しい温もりだけは忘れてはいけないと頭のどこかで思った。

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