夜空は百合の花を狂気的に愛す
第4章 ハボタン
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「あー…クソ。こんなことしか言えないのかよ」
陽向は自身の不甲斐なさに項垂れていた。
今すぐユリをあの忌々しい双子の手から離してやりたいのに口から出たのは守るという安易な言葉だけだった。
(本当はユリにアイツらの正体を言ってやりたい。けど、言ったところでどうなる…?)
陽向はグルグルとずっと考えていた。
ユリに双子のことを話せば、当然ユリは信じないだろう。そして双子にその話が本当かどうか聞く。
双子は勿論それを否定してからユリにバラした陽向を確実に潰しにくる。
(そうなれば俺はユリを守ることが出来なくなる…)
陽向にとってそれだけは絶対に避けたかった。
今はまだ良い。このままで。
だがいつか絶対にユリを双子から取り返す
陽向は1人そう決意した。
まるで魔王に捕まったお姫様を助ける騎士のように。
その瞳はどこまでも真っ直ぐだった。