夜空は百合の花を狂気的に愛す
第5章 ラベンダー
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昼休み。
グラウンドで遊ぶ男子の声と廊下をたまに通る女子の声に混ざりながら、とある空き教室では女の厭らしい声と肌と肌がぶつかる音が響いていた。
「あっあっああっよ、る…もっとぉ!」
「…ハハ、本当愛子さんは淫乱だね」
廃棄された机に組み敷かれて身体を重ねているのは愛子と夜だった。
腰を打ち付ける夜にもっとと強請るように愛子が抱きしめるように縋り付いていた。
(ああ…夜、あたしの夜。顔も身体もSEXも上手いなんてあたしもっと好きになっちゃう。唯一嫌なのは夜の好きな人がアイツだってことだけ)
愛子は夜に自分からキスをした。
「…はぁ…よ、るぅ…す、き」
夜はそれに何も答えず、ただキスを受け止めてピストンを繰り返していた。
律動を繰り返すたびに香るフルーツの匂いに夜は少し顔を顰めた。
「ねえ、愛子さん、この香水つけるのやめれないの?」
「…え…っ…この匂い、嫌い…?はあ」
(匂いが俺についてユリにバレるのが嫌なんだよ)
そう心の中で悪態をつきながらも、夜は優しく笑う。
「嫌いじゃないけど…俺あんまり香水つけてる子、好きじゃないかな」
「あっん…なら、つけるの…やめる…っ」
「あはは、良い子良い子」
「ああん!!」
律動を早めれば、気持ちよさそうに愛子が喘いだ。
(…煩いなぁ。この女がユリだったらどんなにいいか)
夜はどうにか愛子をユリに見立てて腰を打ち付けた。