テキストサイズ

僕は君を連れてゆく

第12章 デリバリー攻略book


そして、俺はあなた仕様の体になった。

あなたから与えられ快感は今まで経験したことないもので、全てが初めてだった。

教え込まれたものをあなたへ返せば、微笑み頭を撫でてくれた。

俺が一番、可愛いと言ってくれた。好きだとも。

男同士だから、未来とかそんなこと考える必要がないから考えなかった。

あなたも同じだと思っていた。

それなのに。



────────────────

「あぁ、もう、終わんないよぉ!」

隣のデスクに目をやるとスマホ片手ににやける
潤くんがいた。

「誰?部長?」

返事がない。

恋なんて、愛なんて。
こんな世の中にはないんだから、早く、夢から
覚めた方がいい。

でも、潤くんと部長を見ていると、愛ってやつが
あるのかもしれない。

そんなことを思ってしまう。

「ぃぃな。」

口からでた言葉に驚いた。

羨ましいと思っている。
あの二人を。

時々、アイコンタクトを取って頬をピンクに染める
部長。

時々、アイコンタクトを取って鼻唄を歌う潤くん。

滲み出る幸せのオーラに俺も頭に花が咲いてしまったんだ。

「潤くんのバーカ!俺、もう帰る!あと、やってよね!」

「何がバカだよ!ふざけんな!お前やれよ!」

ムカつく!

男同士なんだから。
無理なんだよ。

俺の家まで電車で一駅。
歩けない距離じゃないけど、普段は電車を利用していた。

駅の改札まできたら、あのタバコの香りがして、
気分が悪くなって電車に乗るのをやめた。

いつまでも、あなたのことを引きずっている俺。

こんな俺が一番、ムカつくんだよ。

トボトボ歩いて帰る。

腹が減った。

スマホの電話帳をスクロールしていつもの店へ
電話をかけた。

『はい、愛来軒です。』

「あっ、二宮です。いつもの30分後にお願いします。」

30分後にすれば家について着替えてちょうどいい頃だ。

電話を切ろうとしたら
『あぁ!待って!いつものって?』

そういえば、いつものおばちゃんの声じゃないな。

新人か?

「お醤油ラーメンに餃子一枚。お願いします。」

『はい!お醤油ラーメンに餃子一枚ですね?お作りしてお持ちします!ご住所確認してもいいですか?』

住所を伝えて電話を切った。

「腹へったな。」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ