
僕は君を連れてゆく
第15章 会いたい
目が合うとフッと微笑んだ。
「こんな時間にこんなところで何してる?授業はどうした?」
やべぇ…
「…体育…」
「ん?」
「走るの嫌いなんだよ…」
フッと笑ってまた、俺の足に触れた。
「こんな足じゃ…走れないよな…」
冷やすか…と立ち上がって教室から出ていった。
教室の中は暖かくてかじかんでいた指先にも血が通ってきちんと動くようになっていた。
先生は…なんで、ここに?
教室の中にはピアノ。
あとは、コーヒー?
ソファにローテーブル。
「先生の部屋みたい…」
ガラっとドアが開いて先生が戻ってきた。
「どうした?寒くないか?」
手にはタオルがあった。
水で濡らして絞ってきてくれたみたいで赤く腫れた脛に当ててくれた。
「冷たっ!!!」
「我慢しろ。あとできちんと保健室へ行こうな。」
「え?」
どういう意味?ってことで聞いたけど答えてはくれなかった。
「名前は?」
「3のA、二宮です。」
「そうか。来週から俺が担当するクラスだな。」
そう言いながら資料を見て、数枚の中から一枚を俺に見せて
「君だ。」
引き継ぎようでもらった資料で生徒のことが細かく書いてあるらしい。
マメな先生だったんだな。って。
