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僕は君を連れてゆく

第15章 会いたい


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セミの鳴き声がする。
公園の街灯に虫が集まっている。

「そんなこといつも思ってたの?」

まさきが俺の手を握っている。

「うん…いつか、その人のところへ行っちゃうんじゃないかって…いつも思ってた。」

真っ直ぐに俺を見ている。

「いつも…」

まさきのことを大切に思っている。
俺のことをこんなに愛してくれる人はもう二度と現れないだろうとまで思っている。

居酒屋で先生のことを話した。

まさきは握られていた手を弛めて離して
「お葬式、行っておいで。」

アパートに向かって歩き出した。

今、まさきはどんな顔をしているのかな。

まさきのアパートについて、暑くて扇風機のスイッチを入れた。

「お風呂、入れてくるね?」

鞄を置いてまさきがお風呂場へ行った。

週末はほとんど、まさきの家に泊まる。

クローゼットにあるTシャツに着替える。
まさきの分のTシャツとスウェットもだした。
まさきも着替える。

部屋を出ようとしたら
「かず…」
抱き締められた。

「まさき…」
首に腕を回した。
頬にキスをして、唇を寄せた。

「俺、まさきのこと大切に思ってるよ。」

「うん…」

さらに、ギューって抱き締められた。

まさきは今、どんな顔をしているのかな。

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