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僕は君を連れてゆく

第15章 会いたい


大野さんおすすめの居酒屋さんに入って生ビールを2つ注文した。

「「かんぱーい!!!」」

明日はお葬式なのにこんなテンションでいいのか…

俺はあまり、高校生活に馴染めなかったけど、
大野さんとの思い出はたくさんあって…

授業をサボってちょっと、エッチな映画を見に行ったり、学校帰りにテスト勉強したり…
大野さんは俺が先生を好きになったこと、気がついていた。

まぁ、そこから学校へも行くようになったから…

「ニノはさ…高校…楽しかった?」

少しお酒も進んだ頃に静かに聞いてきた。

「うん…楽しかったよ…あなたがいたし…」

「そっか…」

大野さんはタバコに火をつけて口にくわえて、スゥーと息を吸って白い煙を吐き出した。

「胃ガンだったらしい。松本先生。見つかったときには手の施しようがなかったみたいでさ…俺、一緒に働けるかな?なんて少し楽しみにしてたんだ…」

鼻をすすって顔を両手でゴシゴシと擦る。

俺が地元を離れるとき、見送りにきてくれたときもこうやって、悲しんでくれた。

「にの、今日どこ泊まるの?家来れば?」

「ホテルとったから大丈夫だよ。」

「一人で平気か?」

「ん?」

「いや…そうだよな…ホテルくらい予約してくるよな…」

一人で平気だよ…


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