
僕は君を連れてゆく
第15章 会いたい
「さぁ、もう帰れ。」
腕時計に目をやりながら先生が言う。
帰りたくないな。
「……」
「どうした?」
「ううん。」
教室をでて階段を降りる。
グランドではまだ、部活に精をだしてるみんながいる。
「にのー!」
「大野さん!今、帰り?」
「一緒に帰ろうぜ!相葉ちゃんとこ寄っていい?」
片手にノートを持っている。
二人で体育館を目指して歩く。
ダムダムとボールの跳ねる音がする。
覗くとミニゲームが行われていた。
ホイッスルを持って腕組みをしてるまさきがいた。
「スクリーンアウトだっ!前へつなげ!つなげよ!」
後輩へ指示を出しながらゲームを見ている。
「最後まで諦めるな!限界まで飛べよ!指の先にボールが当たるかもしれないだろっ!」
熱が入ってる。
「カッコいいな。相葉ちゃん。」
「別人みたいだね。」
ホイッスルが鳴った。
みんながしゃがみこんだ。
「5分休憩。そのあと、シュート練500本な!」
体育館に悲鳴が響き渡る。
中には鬼だ!とか、悪魔だ!とか言ってる後輩たちがいる。
だけど、俺らに気がついた途端、いつもの顔に戻った。
駆け寄ってきた。
汗が光っている。
「どうしたの?珍しい!」
「相葉ちゃん、ノート忘れてるよ!」
首に巻かれてるタオルで顔をゴシゴシ拭いてる。
「もう、引退なんだけどね。練習見に来ると気合い入っちゃってさっ!
もう帰るの?次もゲームにしようかな?見ててよ!きっと、俺に惚れちゃうよ♡」
