
僕は君を連れてゆく
第15章 会いたい
「風間!変わってよ!」
ホイッスルを渡して、ビブスを着たまさき。
「シュート練はやめた!もう一回やろっ!」
そして、俺たちを、指差して「見てろ♡」と口が動いた。
ミニゲームが始まった。
まさきはドリブルしながら颯爽と俺たちの前を通りすぎてシュートした。
惜しくもハズレた。
悔しそうなまさき。
「あっ!やべぇ。姉ちゃんから電話だ!」
大野さんは外に出ていった。
「ダメだ!俺、帰らなきゃ。」
「そうなの?じゃぁ、俺待ってるよ。」
「一人で平気か?」
「大丈夫だよ。」
大野さんからまさきのノートを預かった。
大野さんの家族はとても仲がいい。
家族で夕食を囲むことが多いそうで、今日はすき焼きなんだって。
だから、みんなで食べないといけないらしい。
そんな話を聞いたときにすごく驚いたけど、大野さんを見てればそんな家族であることが分かる。
まさきと目が合った。
ガッツポーズを、見せてやった。
ホイッスルが鳴ってゲームが終わった。
「さぁ!終わりだ!片付けだ!」
まさきの声が体育館に響く。
「着替えてくる。」
頭をポンポンとされた。
「…うん。」
光る汗。
香るまさきの匂い。
