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僕は君を連れてゆく

第15章 会いたい


「行くってどこに行くのよ…」

「…」

横断歩道の反対側に人が来て体が離された。

鼻の頭が赤くなっている。

「さっきまで、あんなに暑かったのにな~!」

ごめんね。
まさき。

「コンビニで肉まん買って帰ろう?」

「うん!」

俺はここを離れる。

それは前から決めていたことだ。

でも、それを、少し寂しいと思っている自分がいる。

「松潤のとこ行ってたの?」

「あ、うん。」

「そうなんだ…にのって意外に一途なんだね。」

「えぇ?」

「向こうは先生だからさ…あまり、困らせちゃダメだよ…もし、辛くなったなら俺がいるから…」

まさきは目尻を下げて微笑んでいる。

「まさき…」

「誰にも言わないよ。俺はニノの、味方だから。」

コンビニに寄ってあんまんと、肉まんを買った。
最初に肉まんを半分個にして食べた。

「にのもあんまんも食べるでしょ?」

あんまんも、半分個にして食べた。

この道はコンビニを過ぎると住宅街で静かになる。
道に並んでる街路樹は葉を落とし寒そうに揺れてる。
「もうすぐ、まさき、誕生日だね。何が欲しい?」

「…」

「ん?」

「何も言ってくれないんだね。」

「…」

「じゃぁ、また明日ね!」

だって、何を言ったらいいんだ。
そうです、俺は先生が好きです。って言えば良かったのか?

まさきは俺から何の言葉が聞きたかったんだろう。





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