テキストサイズ

僕は君を連れてゆく

第15章 会いたい


何か話しているみたい…
生徒らしき人の靴が先生に近づいたりしてる。
しばらくすると、生徒らしき人が走ってその場を
離れた。

泣いてた?

やっぱり、生徒らしき人は生徒だった。
何の話をしてたんだろう。

気になる。

気がついたら旧校舎に向かって走っていた。

「はぁ…はぁ…はぁ…」

まだ、先生はいなかった。
いつも、ここに先生がいるわけではない。
元々は先生が生徒だったときは、こっちの校舎を
使っていたんだって。
赴任したら改装されて立派な建物になっていて驚いたそうだ。
旧校舎もまだ使えるし愛着があるし、ここにあるこのピアノが先生は好きなんだって。

スマホで時間を確認したら17時を過ぎていた。

『今日は俺のお祝いしてくれるんでしょ?』
朝のまさきの顔が浮かぶ。

『かぁちゃん、張り切ってるからさ!』
朝のまさきの声を思い出す。

あと少しだけ…
あと少し…

「二宮?」

「せんせいっ!!」

「どうした?」

「来ないかと思った…」

「寒いだろ?今、ストーブつけるな。」

まさきの顔…
まさきの声…

すぐに行くから…

俺は先生のあとを追って教室に入った。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ