
僕は君を連れてゆく
第15章 会いたい
「古いから暖まるのに時間がかかるんだ。」
「うん…」
先生はコーヒーを入れてくれた。
コーヒーなんて本当は飲めなかったけど、飲めないなんて言ったら子供扱いされると思って我慢して飲んでいた。
でも、気がついたら好きになってた。
「あったかい…」
「そうか。どうした?今日は相葉の誕生日なんだろ?祝ってやるんだろ?」
「なんで?」
「朝からあちこちでおめでとう!って言われてたからな。相葉はお前らにお祝いしてもらうって話してたぞ。」
「そうなんだけど…」
「なんだ?プレゼント買えなかったのか?」
「そうじゃなくて…」
「…?」
意を決して、
「さっき…見たんだ…中庭で、」
俺が見たことを先生に話した。
「泣いてたよね?生徒の方…何の話してたの?」
「…聞いてどうする?」
「え?」
「二宮はそれを聞いてどうするんだ?」
「どうするって、別に…」
「興味本意で聞いてくることじゃないだろ。」
「興味本意でって…そんなんじゃっ!」
「じゃぁ、なんだ?」
先生が俺に近づいて、俺を見下ろす。
どうすれば…
興味本意で、面白おかしくしたいなんて思ってないって伝わるんだろ…
