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僕は君を連れてゆく

第15章 会いたい


「さぁ、帰れ。相葉が待ってるぞ。」

「まさきは、関係ない!」

俺から離れた先生の背中のジャケットの裾を掴んだ。
「気になるんだ…先生が何してるのか…先生が知りたいんだ…どうして、こんなこと思うのかわからないんだけど…こんな風に思ったことないから…だから、」
自分で言っていて涙が出てきた。

「興味本意だけじゃなくて…」

「離せ…」

「手を離せ。」

ジャケットを掴んだ手を離した。
先生が俺を見た。

「泣くな…」
頬を両手で挟んで親指で涙を拭ってくれた。

「どうしてそんな風に思うのか、分かったら教えてくれ。」

前髪が目にかかっている。
俺もそっと手を伸ばして先生の前髪を横に撫でた。
その時に先生が目をつむった。

「分かるまでここに来ちゃだめなの?」

「来ていいよ。」

「また、泣く…」

「せんせいは、わかるの?俺がなんでこんな風に思うか。」

先生は目を丸くして笑った。
「お前…ワザとか?」

お前…
お前って、言われた…

「ワザと?」

体を胸に抱き寄せられた。

先生の匂いがする。

「早く分かりたい。分かったら…」

「ん?」

先生の顔が近い…

俺は体を伸ばして先生にキスをした。

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